
電子回路を学ぼうとしたとき、最初の壁になりやすい部品が「コンデンサ」です。
- 記号はよく見るが、何をしているのか分からない
- 回路図に当たり前のように出てきて戸惑う
- 説明を読むと、すぐに数式や専門用語が出てきて止まる
この記事は、そうした経験がある人に向けて書いています。
ここでは理屈よりも先に「使われ方」から理解することを最優先します。読み終えたときに、「ああ、だからここに置いてあるのか」と腑に落ちれば、それで十分です。
コンデンサとは?まず結論から
- コンデンサは電気を一時的にためる部品
- 回路を安定させるために使われる
- ほぼすべての電子機器に入っている
コンデンサは、電気をためて、必要なタイミングで放すことができます。この性質を使って、電気の流れを落ち着かせたり、不要な成分を取り除いたりします。
電子回路の電気は、常にきれいに一定ではありません。負荷が変わったり、スイッチが切り替わったりすると、電圧や電流は細かく揺れます。コンデンサは、その揺れを一度受け止めるクッションのような存在です。
そのため、スマートフォン、パソコン、家電、車載機器など、電子回路を含む製品にはほぼ必ずコンデンサが使われています。
コンデンサはどんな製品で使われているのか
- スマートフォンやパソコンの内部基板
- USB充電器・ACアダプタ
- テレビやオーディオ機器
- マイコンを使った電子工作
これらの製品に共通しているのは、「安定して動き続ける必要がある」という点です。
例えば、スマートフォンが操作中に突然再起動したり、音楽がノイズだらけになったりしたら困ります。コンデンサは、そうした不安定さを表に出さないための裏方として働いています。
なぜコンデンサが必要なのか
- 電源の電圧は常に揺れている
- 回路は一瞬で大きな電流を使うことがある
- 不要な信号(ノイズ)が混ざりやすい
電源は安定しているように見えますが、実際には常に細かく変動しています。特にICやマイコンは、動作の瞬間に急に電流を必要とします。
このとき、電源からの供給が一瞬だけ追いつかなくなることがあります。その瞬間の不足を補うために、コンデンサが使われます。
また、信号線には意図しない成分が混ざることがあります。コンデンサは、そうした不要な成分を抑える役割も担っています。
コンデンサを使うメリットはなんなのか
- 電源が安定する
- 誤動作が減る
- 信号がきれいになる
これらはすべて、「電気の変化がなだらかになる」ことによる効果です。
例えるなら、コンデンサは段差の多い道をならす舗装材のような存在です。電気が急に跳ねるのを防ぎ、回路全体がスムーズに動くようになります。
コンデンサが使われる回路ランキング
コンデンサは、どこにでも無秩序に置かれているわけではありません。使われ方には典型的なパターンがあります。
ここでは、初心者が最初に出会う可能性が高い回路を、用途が多い順に見ていきます。
第1位:電源安定化回路(デカップリング・平滑)

- 電源電圧を安定させる回路
- コンデンサは電気の貯金役
- すべての電子機器で使われる
電源安定化回路は、コンデンサの中で最も使用頻度が高い用途です。回路図を見て、電源ピンの近くに置かれているコンデンサは、ほぼこの目的です。
ICが一瞬で大きな電流を使うとき、電源からの供給が間に合わないと電圧が下がります。コンデンサは、あらかじめためておいた電気をその瞬間に放出します。
比喩で言うと、
- 非常用バッテリー
- 水道管に付いた圧力タンク
のような存在です。普段は目立ちませんが、必要な瞬間にだけ助けてくれます。
よくある勘違い:とりあえず大きいコンデンサを付ければいい?
初心者は「大きければ安心」と考えがちです。しかし、実際には役割ごとに適した容量や種類があります。
大きいコンデンサだけでは、細かい変動に対応できないこともあります。そのため、実際の回路では複数のコンデンサを組み合わせて使います。
第2位:カップリング回路(直流カット)

- 直流成分を通さない回路
- 必要な信号だけを次に渡す
- 音声回路やセンサ回路で多用
カップリング回路では、コンデンサは信号線に直列に入ります。目的は、一定の電圧(直流)を遮断することです。
音やセンサの信号では、変化している部分だけが必要なことが多くあります。コンデンサは、変化にだけ反応する性質を持っているため、この用途に適しています。
比喩で言えば、
- 水位をせき止める堤防
- 必要な流れだけ通す水門
です。水位そのものは止めつつ、波のような変化だけを通します。
よくある勘違い:コンデンサは1個あれば十分?
信号は回路を進むにつれて条件が変わります。そのため、場所ごとに役割の違うコンデンサが必要になることがあります。
第3位:ノイズ除去回路(フィルタ)

- 不要なノイズを減らす
- 抵抗やコイルと組み合わせて使う
- センサや通信回路で重要
電子回路の中には、意図しない高周波ノイズが常に存在します。コンデンサは、変化の激しい成分を逃がしやすい性質を持っています。
例えると、
- ゴミだけを流す排水溝
- うるさい音を吸収する防音材
のような役割です。
よくある勘違い:ノイズは後から対策すればいい?
ノイズ対策は、問題が出てからでは遅いことがあります。最初から入れておく前提で設計するのが基本です。
ここから体系的に見るコンデンサの考え方
- 電気をためる性質がある
- 電圧の変化を嫌う
- 種類ごとに得意な役割が違う
電気をためる性質があるとはどういうことか
- コンデンサは電気を一時的にためる
- ずっと流し続ける部品ではない
コンデンサはよく「電気をためる部品」と言われます。
ただしこれは、電池のように使うという意味ではありません。
コンデンサがやっているのは、
電気が流れ込んできた瞬間に受け止め、
必要がなくなったら返す
という動きです。
これは、水道で言うと
小さなタンクに近い存在です。
- 一気に水が必要になったら補う
- 流れが落ち着いたら、何もしない
だからコンデンサは「一瞬の助っ人」として使われます。
これが、電源回路で
「急な電流を肩代わりする」
という使い方につながります。
電圧の変化を嫌うとはどういう感覚か
- コンデンサは電圧が急に変わるのを嫌う
- ゆっくりなら許す
コンデンサの本質は、
実は「ためる」ことよりもこちらです。
コンデンサは、
電圧が急に変わろうとすると、全力で抵抗する
という性質を持っています。
たとえば、
- 電圧が一気に上がろうとすると
→ 電気を吸い込んで抑えようとする - 電圧が一気に下がろうとすると
→ ためていた電気を吐き出して支えようとする
つまりコンデンサは、
電圧を急に動かさせない部品です。
これは、
- 急ブレーキをかけると前に踏ん張る人
- エレベーターの急停止で体が持っていかれる感覚
に近いです。
この性質があるから、
- ノイズ(急な変化)を嫌う
- ゆっくりした変化は通す
という動きになります。
種類ごとに得意な役割が違う理由
- 性質は同じ
- 向いている仕事が違う
ここでやっと
「なぜコンデンサに種類があるのか」
が見えてきます。
コンデンサは全部、
- 電気をためる
- 電圧の急変を嫌う
という同じ性質を持っています。
違うのは、
- どれくらいためられるか
- どれくらい速く動けるか
- どれくらい安定しているか
です。
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- 小さい
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初心者が混乱するポイント
「用途が違う」と聞くと、
性質まで違うと思ってしまいがちです。
でも実際は、
同じ性質を、
違う方向に特化させた結果が“種類”
これが正しい捉え方です。
3つの性質は全部つながっている
整理すると、
- 電気をためる
↓ - だから電圧の急変を嫌う
↓ - その性質を、どこでどう使うかで種類が分かれる
という一本の線になります。
まとめ:ここまで分かれば十分
- コンデンサは電気のクッション
- 一番多い用途は電源安定化
- 回路の役割から見ると理解しやすい
ここまで読めたあなたは、もう一度電子回路を学び直せる状態に来ています。
次は「抵抗」を見ると、回路全体の意味が一気に読めるようになります。
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